●一人っ子(其の一)
あいかに兄弟がいないのは何故かってことを、将来のために書いておこう。
あいかが生まれる約2年前に本来であれば君のお兄さんが生まれるはずだった。
ある日家に帰るとホワイトボードに「私たちの赤ちゃんが出来たみたい」と書いてあった。
パパとママはとても喜んで、毎日毎日彼が生まれてくるのを待ち望んだ。
でも、出生することなくその命を終えた。
染色体の異常により、首の周りに大きな腫瘍があり、そのまま生まれても育つことが出来なかったらしい。
パパとママはとても辛い思いをした。特にママは肉体的にも精神的にも大きな傷を負った。
もう一度ママのおなかに命が宿った。「今度こそ!元気に育って欲しい!」そう願って止まなかった。
ある日検診に行くと、心音が止まっていた。
それから期間があいてようやく、あいかを身ごもった。パパもママも必死だった。
10ヶ月がこんなに長いものかと…
妊娠3ヶ月頃だったかな。出血があり、深夜に病院へ電話したこともあった。
電話では「安静にして様子を見るしかない」と言われた。
翌日田中レディスで検診。ドキドキだったけど、元気な心音…。
良かった。でも一応切迫流産で森レディスへ入院。
この辺からママとつわり(悪性悪阻)の戦いが始まった。
とは言うものの、ママはアイスクリームさえ食べていれば元気だった。
毎日近くのセブンイレブンでアイスクリームを買いにいった(行かされた)っけ。
ママの入院中にパパのお父さんが死去。
パパのお父さん(操)は、あいかを見ることは出来なかったけど、盛大に送りだしてあげたからいっか。
どっかで見てるだろ!きっと。葬儀が終わってママも仕事に復帰した。
それからあいかは順調に育っていった、ようやく胎動も感じられるようになり、毎日ママは
あいかの動きをパパに報告してくれた。
ママの休日だったかな、「今日は一回も動いてない」「オイオイ」即森レディスへ電話。
「動かないんですが」
看護婦さん曰く、そんな時もあるらしい。
電話を切って10分後、「動いた」
あいかが原因なのかママが原因なのか、お腹がいつもカチンカチンに張っていた。
その硬いお腹を気遣いながら、ママは8階の催事場で仕事をしていた。
きつかっただろうけど、ママはしっかり頑張った。
定期健診でいきなり「切迫早産」
よほど切迫が好きなのか…、でもまだ8ヶ月だぞ!もう少しオトナシクお腹の中にいてくれ~
ということで入院。
様子を見ていたら降りかけていたあいかも少し戻ったようで、仕事に復帰。
さぁいつ生まれてもいいぞってことで、君が生まれてくるのを待ちわびていたとき、
ある日会合から帰ってくると、ママが「破水したみたい」
「はよ電話せれ~」「尿漏れかもしれんし」「とにかく電話!」
急いで病院へ・・
続く